ジャパニーズ・ポップス・アレンジメンツ 男声版 曲解説
ジャパニーズ・ポップス・アレンジメンツ 男声版の編曲者、篠田昌伸さんによる曲解説です。メールでもご紹介いたしましたが、演奏会本番を控え、投稿ご紹介します。(原)
この編曲集は、アルマ・マータ・クワイア創立70周年記念の委嘱作として、2017年に初演されたものだが、当時特に組曲としての名前を付けずに発表していた。その後2018年「新しい合唱団」への編曲作品として別の日本のポピュラーソングを編曲した際にこのタイトルが付けられ、また今年新たに4曲新しく編曲した際にも「II」として発表した。そういった経緯から、もっとも古い編曲であるこの曲集にも「男声版」としてこのシリーズに加わってもらうことになった。
「少年時代」は、井上陽水の「夏の思い出」ともいえる名曲だが、おのおのの「夏」は1回で終わるものではない、ということを念頭に、途中タイムスリップするかのような間奏から、大胆な転調を経てまた帰ってくる、といった趣にしてみた。
「琵琶湖周航の歌」は、1番ごとに転調しつつ、景色を眺めながら琵琶湖を一周する、という構成をとっている。途中のピアノの音型には、ショパンの「舟歌」もあしらっている。
「さらば青春」は、この曲集中ではもっとも颯爽とした雰囲気をもった曲であり、過ぎた青春を惜しむのではなく、さわやかなスピード感の中で回想する感じにしたいと思った。
「さとうきび畑」は、ひとつのストーリー展開をもった、いわばモノローグオペラのような曲だが、この編曲では、歌詞を大幅にカットし、個人的な感情を吐露するような部分をあえて排し、より普遍的な音楽として表現されていくことを願った。
(篠田さんによる曲解説、ここまで)
さてここでまず、篠田さん自ら「琵琶湖周航の歌」のモチーフとして紹介されている、ショパンの「舟歌」を聴いてみよう。
フレデリック・フランソワ・ショパン(Fryderyk Franciszek Chopin)
『舟歌』嬰ヘ長調(Barcarole、作品60)(1846)
YouTubeにて、色々なピアニストの『舟歌』を聴くことができるが、今回はエフゲニー・キーシン(Evgeny Kissin)の演奏をご紹介します。
中間部分、(約3分のあたり)、聴こえてきませんか? ・・・矢の根は深く 埋もれて ・・・
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